研究ESでAIを使うなら、「この研究を要約して」で終わらせないでください。研究ESは学会要旨ではありません。採用担当が知りたいのは、研究テーマの難しさだけでなく、あなたがどの範囲を担当し、どのように考え、仕事でも再現できる力を身につけたかです。
この記事でわかること:
- 研究ESをAIで伝わる文章に直す5ステップ
- 学会要旨とESの違い
- 守秘と事実確認をしながら、自分の担当を強く見せる方法
結論:研究ESは5ステップで直す
研究ESは次の5ステップで作ります。
| ステップ | やること | AIの役割 |
|---|---|---|
| 1. 情報を伏せる | 未公開情報や個人情報を除く | 入力前チェック |
| 2. 構造化する | 背景、目的、方法、結果、自分の担当に分ける | 整理役 |
| 3. 読み手別に変換 | 専門外にも伝わる説明へ直す | 読み手役 |
| 4. 担当を強くする | 自分の判断と工夫を明確にする | 質問役 |
| 5. 面接メモを作る | 本文に入らない補足を保存する | 面接官役 |
この順番で進めると、AIが勝手に研究成果を盛るリスクを減らせます。最終文責は本人です。AIの出力は、必ず研究室の事実、公開可能な範囲、自分の担当と照合してください。
あなたは理系学生の研究ESを添削する編集者です。
目的は研究内容を代筆することではなく、
専門外の採用担当にも伝わる構成へ整理することです。
以下の情報を、背景、目的、方法、結果、自分の担当、仕事への接続に分けてください。
研究テーマ:
背景:
目的:
方法:
結果または途中経過:
私の担当:
公開してはいけない情報:
制約:
- 公開してはいけない情報は使わない
- 結果を確定していない形で断定しない
- 私が担当していない作業を私の行動にしない
- まだ完成文は書かない
学会要旨と研究ESは読み手が違う
学会要旨は、同じ分野の研究者に向けて新規性、方法、結果を短く伝える文章です。研究ESは、採用担当や現場社員に向けて、研究への向き合い方と仕事で使える力を伝える文章です。両者は似ていますが、重点が違います。
| 項目 | 学会要旨 | 研究ES |
|---|---|---|
| 読み手 | 専門家 | 採用担当、非専門面接官 |
| 中心 | 研究の新規性と結果 | 自分の担当と工夫 |
| 用語 | 専門用語を使う | 必要な用語だけ説明する |
| 評価される点 | 学術的意義 | 課題設定、検証、粘り強さ、伝える力 |
そのため、学会要旨をそのまま貼ると、専門用語が多すぎる、本人の担当が見えない、仕事との接点が弱い、という問題が起きます。AIには「専門外の読み手」を指定して、読み手別に変換させます。
以下の研究説明を、専門外の採用担当にも分かる研究ES向けに直すため、
難しい用語と説明不足の箇所を指摘してください。
出力形式:
- 専門外に伝わりにくい用語
- その用語を残すべきか、言い換えるべきか
- 説明を1文足すなら何を足すべきか
- 自分の担当が見えにくい箇所
制約:
- まだ全文を書き換えない
- 研究内容を単純化しすぎない
- 事実を追加しない
研究説明:
【匿名化した本文を貼る】
自分の担当を強くする質問
研究ESで弱くなりやすいのは、「私」が消えることです。「本研究では」「我々は」と書き続けると、研究室全体の説明になり、あなたが何をしたのかが分かりません。AIには、自分の担当を明確にする質問を出させます。
以下の研究ES案について、私個人の担当と工夫が弱い箇所を見つけてください。
確認観点:
1. 私が担当した作業はどこか
2. 私が判断したことはどこか
3. 失敗や修正はどこか
4. 指導教員や先輩の作業と混ざっていないか
5. 面接で聞かれそうな質問
制約:
- 私の担当を勝手に増やさない
- 研究室全体の成果を私の成果にしない
たとえば「実験条件を検討した」と書いているなら、面接では「どの条件を、なぜ変えたのですか」と聞かれます。ここに答えられないなら、ES本文ではなく面接メモで補うか、表現を弱める必要があります。
ビフォーアフター:専門的すぎる研究説明を直す
架空の学生、藤村さんの初稿です。
私は高分子材料の熱特性評価に関する研究を行っています。示差走査熱量測定を用いて試料のガラス転移温度を測定し、添加剤濃度による物性変化を検討しました。複数条件で測定を行い、材料設計に有用な知見を得ました。
専門分野の人には伝わりますが、ESとしては弱点があります。背景がない、自分の担当が見えない、「有用な知見」が曖昧、仕事で使える力が伝わらない、という点です。
AIに「専門外向け」「自分の担当を強調」「事実を足さない」と指定して直すと、次のようになります。
私は、樹脂材料の使いやすさを左右する熱への強さを調べる研究に取り組んでいます。担当したのは、添加剤の量を変えた試料を測定し、性質がどのように変わるかを比較する工程です。当初は測定値にばらつきがあり、条件の違いが原因か判断できませんでした。そこで試料の保管時間と測定前の温度条件を記録し、条件をそろえて再測定しました。その結果、添加剤濃度による傾向を整理でき、条件を分けて原因を確認する大切さを学びました。
研究の専門性は少し抑えていますが、採用担当には読みやすくなります。何を研究しているか、藤村さんが何を担当したか、どこで工夫したかが分かるからです。