志望動機をAIと作る手順を、まず5ステップの地図で示します。ポイントは1つ、AIに本文を書かせないことです。AIは「あなたの軸」も「企業の事実」も持っていないため、生成を任せると誰でも書けそうな文章になります。この記事ではAIを壁打ち相手として使い、自分の言葉の志望動機を作ります。最初の一歩はステップ1の「軸の言語化」です。
この記事でわかること:
- 志望動機をAIと作る5ステップの全体像と、各ステップで使うプロンプト3本
- 軸と企業の事実の「接続点」を壁打ちで見つける手順
- 「他社でも言えるじゃん」を潰す検証と深掘り耐性テスト
志望動機をAIと作る5ステップ(全体像と最初の一歩)
まず地図です。AIに書かせず、「材料集め→接続点探し→自分で執筆→検証」の順で進めます。上から順にたどれば、面接に耐える志望動機が1本完成します。
- 自分の軸を言語化する(自己分析)— 何を大切に働きたいかを1〜2本、経験の裏付けつきで言葉にする
- 企業の一次情報を集めてAIに整理させる(企業研究)— 中期経営計画などから、その会社固有の方針をつかむ
- 接続点を見つける壁打ち(プロンプト①)— 軸と企業方針が重なる一点をAIとの対話で特定する
- 初稿は自分で書き、AIに構成を添削させる(プロンプト②)— 本文は自分で書き、AIは指摘だけ
- 深掘り耐性テストと「他社でも言えるか」検証(プロンプト③)— 面接に耐えるかを提出前に確かめる
最初の一歩はステップ1です。志望動機が書けない人の大半は、書く技術ではなく「自分の軸」という材料が欠けています。ここが埋まらないと、後のステップをいくらAIで回しても中身が空のままになります。では順に進みます。
ステップ1:自分の軸を言語化する
「若いうちから裁量を持ちたい」「仕組みを作る仕事がしたい」のような、経験に裏打ちされた軸を1〜2本言葉にしてください。
やり方は自己分析プロンプト集の深掘り→価値観発見→軸への変換の流れをそのまま使えます。ワークの進め方自体に迷う場合は自己分析の基本手順も参考になります。ここで重要なのは、軸には必ず裏付けエピソードを添えることです。「裁量を持ちたい」だけでは誰でも言えますが、「バイト先で改善提案が通らず悔しかった経験から」が付くと、あなたにしか書けない志望動機の第一部品になります。
ステップ2:企業の一次情報を集めてAIに整理させる
次に、相手側の材料です。会社の採用サイトの言葉(挑戦・成長・風通し)は各社ほぼ同じなので、差がつく材料になりません。見るべきは中期経営計画・決算説明資料・社長メッセージなど、その会社が「これから何をする」と宣言している一次情報です。
ここでのAIの正しい使い方は、資料を貼って読み解かせることです。AIの内部知識で企業情報を答えさせると、古い情報やもっともらしい誤りが混ざります。具体的な手順とプロンプトは企業研究プロンプト集で解説しているので、「方針・その背景・自分との接点の仮説」の3点を手元に用意してから次へ進んでください。
ステップ3:接続点を見つける壁打ち
材料が揃ったら、この記事の中心工程です。
プロンプト① 接続点探しの壁打ち
あなたは就活生の志望動機づくりを手伝うキャリアアドバイザーです。
目的: 私の軸と企業の方針の「接続点」を見つけること。志望動機の本文はまだ書かない。
私の軸: 【仕組みを作って課題を解決したい。根拠: バイト先で手順書を作り新人教育を改善した経験】
企業の事実: 【◯◯社は中期経営計画で店舗運営の標準化と多店舗展開を掲げている】
進め方:
1. 私の軸とこの方針が重なる点の仮説を3つ出す
2. 各仮説について「本当にそう思うか」を確かめる質問を私に1つずつ投げる
3. 私の回答を踏まえ、一番実感のこもっていた接続点を1つ選び、理由を添える
制約: 志望動機の文章を書かないこと。接続点の特定までで止めること。
「本文はまだ書かない」の制約がこのプロンプトの生命線です。AIは頼まなくても文章を完成させようとするため、止めないと接続点探しが生成に化けます。実行例のイメージ: 仮説「標準化の推進はあなたの手順書経験と重なる」に対して「あなたが手順書を作ったとき、一番うれしかった瞬間は?」と聞かれ、「自分がいない日も新人が回せたと聞いたとき」と答える——この回答の実感が、接続点が本物かどうかの判定材料になります。答えに実感が乗らない仮説は捨ててください。
ステップ4:初稿は自分で書き、AIに構成を添削させる
接続点が決まったら、初稿は必ず自分で書きます。下手でかまいません。構成は「結論(軸と接続点)→軸の根拠となる経験→企業の事実と接続の説明→入社後にやりたいこと」の順が基本です。
プロンプト② 構成添削(書き直させない)
あなたは新卒採用で志望動機を読み慣れた採用担当者です。
目的: 以下の志望動機の初稿を、構成と論理の観点で添削すること。
チェック観点:
1. 結論(なぜこの会社か)が最初の2文以内にあるか
2. 軸の根拠となる私の経験が具体的か
3. 企業の事実が固有(その会社にしか当てはまらない)か
4. 経験と企業の事実が論理的につながっているか
5. 入社後の話が事業内容と噛み合っているか
制約:
- 書き直し例は出さない。指摘と改善の方向性のみ
- 私の経験・事実を変える提案はしない
- 企業の情報をあなたの知識で追加しない(古い可能性があるため)
設問: 【当社を志望する理由(300字)】
【初稿を貼る】
制約の3行目は志望動機特有の重要ポイントです。AIは親切心で「同社は◯◯事業でも知られ」のような情報を足してきますが、これが古い・誤っている場合、ES全体の信頼が崩れます。企業の事実は、ステップ2で自分が一次情報から取ったものだけを使ってください。指摘を受けたら、直すかどうかはES添削の受け取り方と同じ基準で自分が判断します。