企業研究AIプロンプトを、まず10本まとめて置きます。SWOT分析・3C分析・PEST分析などのフレームワークにも対応していますが、すべて「AIに事実を語らせず、事実はこちらが渡して読み解かせる」設計です。この分担を守るだけで、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を面接で話す事故がなくなります。急ぐ人は下の早見リストから使う1本へ飛んでください。
この記事でわかること:
- コピペで使える企業研究・業界研究プロンプト10本と使う順番(SWOT・3C・PEST対応)
- 実在企業(トヨタ自動車)のIR資料でプロンプトを実行した出力例
- ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityの企業研究向け比較と裏取りチェックリスト
企業研究プロンプト10選(コピペで使う順番と早見リスト)
先に全体像です。業界→フレームワーク分析→企業の順に使うと、構造の理解から「なぜこの会社か」まで一本でつながります。各行の1本に、下の詳しい解説へ飛べます。
| # | プロンプト | 何ができるか |
|---|---|---|
| ① | 業界構造の把握 | 数字を出させず業界の儲けの仕組みを整理 |
| ② | 業界比較の観点出し | 迷う2業界を自分の軸で比べる物差し作り |
| ③ | SWOT分析 | 有価証券報告書を貼って強み・弱み・機会・脅威を根拠つきで整理 |
| ④ | 3C分析 | 市場・競合・自社を「資料の範囲」で整理 |
| ⑤ | PEST分析 | 業界の外部環境の「調べる地図」を作る |
| ⑥ | ビジネスモデル分解 | 誰に何を売って儲けるかをセグメント別に1行化 |
| ⑦ | IR資料の貼り付け要約 | 中計・決算資料を貼って読み解かせる(主役) |
| ⑧ | 競合比較の観点表 | 2社比較の空欄表を作らせ、自分で埋める |
| ⑨ | 面接逆質問の生成 | 資料でわからなかった点を逆質問に変換 |
| ⑩ | 「なぜこの会社か」の壁打ち | 志望理由が汎用文でないか検証 |
使う前に、裏取りの3つを約束してください。この3点が、AI企業研究が事故らない条件です。
- 事実は一次情報から取る:数字・固有名詞・最近の出来事はAIに答えさせず、公式サイトやIR資料から取ります。AIには「読み解き」だけを頼みます
- 推測とファクトを分ける:AIの出力は「資料に書いてあること」と「AIの推測」を必ず区別して扱います(プロンプトで「推測:」と明記させます)
- 非公開情報を入れない:選考で知った企業の内部情報や、自分の学校名などはプロンプトに書かないでください
業界が先、企業が後です。業界の構造を先につかむと、個別企業の戦略が比較の中で理解できます。それでは①から順に、完全な形で載せます。
業界研究プロンプト2本(業界構造・業界比較)
プロンプト① 業界構造の把握
あなたは業界研究を手伝うキャリアアドバイザーです。
目的: 【食品業界】の構造を、就活生が15分で説明できるレベルまで整理すること。
出力:
1. 誰から・何の対価としてお金をもらう業界か(1文で)
2. 業界内の主要な事業タイプの分類と、それぞれの儲けの仕組み
3. この業界の競争の軸(何で差がつくか)を3つ
4. よく比較される隣接業界と、その違い
制約:
- 市場規模・シェアなどの具体的な数字は出さないこと
- あなたの知識が古い可能性がある論点には「最新情報の確認が必要」と注記すること
「数字は出さない」の制約が対策の核です。構造の説明はAIの得意分野ですが、数字を混ぜると危険地帯に入ります。数字が必要になったら、業界団体の統計や経済産業省の資料など一次情報で埋めてください。出力を読んだら、次のアクションとして「志望企業がどの事業タイプに当たるか」を自分で当てはめてみると、プロンプト⑥以降が濃くなります。
プロンプト② 業界比較の観点出し
目的: 私が迷っている2つの業界を、自分の軸で比較するための観点を作ること。
私の就活の軸: 【若いうちから裁量を持てる/成果が数字で見える】
迷っている業界: 【広告とITサービス】
出力:
1. この軸で2業界を比較するときに見るべき観点を5つ
2. 各観点について「どんな一次情報(説明会・採用サイト・IR資料)で確かめられるか」
3. 説明会で聞くべき質問の例を各業界2つ
制約: どちらの業界が良いかの結論は出さないこと。
結論を出させないのは、AIの評価が一般論に流れるためです。比較の答えではなく「比較の物差しと確かめ方」を出させて、判断は説明会と一次情報で自分が下します。軸がまだ言葉になっていない人は、先に自己分析プロンプト集で軸を作ってから戻ってきてください。
フレームワーク分析プロンプト4本(SWOT分析・3C分析・PEST分析・ビジネスモデル分解)
企業研究の定番フレームワークをAIで回す4本です。注意点は共通で、フレームワークの「枠」はAIに作らせてよいが、「中身の事実」はAIの知識で埋めさせないこと。枠を埋める材料は、有価証券報告書・決算説明資料・中期経営計画から自分で貼り付けます。有価証券報告書は金融庁の開示システムEDINETか企業の公式IRページで無料で読めます。
プロンプト③ SWOT分析プロンプト(強み・弱み・機会・脅威)
あなたは企業分析が得意な経営コンサルタントです。
目的: 以下に貼る【◯◯社の有価証券報告書「経営方針」「事業等のリスク」の文章】を材料に、
就活生の私が面接で話せるレベルのSWOT分析を作ること。
出力:
1. 強み(Strength)/弱み(Weakness)/機会(Opportunity)/脅威(Threat)を各2〜3点
2. 各項目の末尾に「根拠: 資料のどの記述から読み取ったか」を1行で添える
3. 資料からは判断できない象限は無理に埋めず、「私が追加で調べるべきこと」として列挙する
制約:
- 貼った資料に書かれていないことをあなたの知識で補わない
- どうしても補う場合は行頭に「推測:」と明記すること
【資料の本文をコピーして貼る】
SWOT分析は、内部要因(強み・弱み)と外部要因(機会・脅威)を4象限で整理するフレームワークです。「◯◯社のSWOT分析をして」とだけ頼むと、AIは古い知識で強みをでっち上げます。そこで材料に指定するのが有価証券報告書の「事業等のリスク」。企業自身が弱み・脅威を法定開示している一次情報で、SWOTの左下2象限がほぼこのページから埋まります。出力の見どころは「根拠:」の行です。面接では強みを語るより「脅威に対して会社がどう動こうとしているか」に接続すると、読み込みの深さが伝わります。
プロンプト④ 3C分析プロンプト(市場・競合・自社)
目的: 【◯◯社】の3C分析(市場・顧客/競合/自社)を、以下に貼る資料の範囲で整理すること。
材料:
- 自社(Company): 【中期経営計画・決算説明資料の文章を貼る】
- 競合(Competitor): 【競合と思う会社名を私が指定する: △△社】
- 市場・顧客(Customer): 【業界団体・官公庁の統計から拾った事実があれば貼る】
出力:
1. Company: この会社が自分で語っている強みと今後の方針(貼った資料の範囲で)
2. Customer: 貼った事実の整理。事実が足りない部分は「何をどこで調べるべきか」を出す
3. Competitor: 比較するときに見るべき観点のみ(△△社の中身をあなたの知識で埋めない)
4. 3つを踏まえて、面接までに確認すべき論点を3つ
制約: 資料にない事実を作らない。推測は「推測:」と明記すること。
3C分析は市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3視点で企業を立体的に見るフレームワークです。3つのCのうち、競合と市場はハルシネーションの頻発地帯なので、このプロンプトでは自社=貼った資料、市場=自分で集めた統計、競合=観点のみ、と情報源を分けています。競合の中身を埋める作業は、プロンプト⑧の空欄表で行うと二度手間になりません。
プロンプト⑤ PEST分析プロンプト(政治・経済・社会・技術)
目的: 【◯◯業界】のPEST分析の「調べる地図」を作ること。
私は就活生で、面接で業界の外部環境を1分で語れるようになりたい。
出力: 政治(Politics)/経済(Economy)/社会(Society)/技術(Technology)の4観点それぞれについて、
1. この業界に影響しそうな論点の候補を2〜3個
2. 各論点を確かめられる一次情報源の種類(官公庁の統計・白書・業界団体・企業のIR資料など)
3. 「あなたの知識が古い可能性が高い論点」に印をつける
制約:
- 具体的な数字・法改正の内容・最近のニュースは断定しないこと(古い可能性があるため)
- 結論ではなく「調べる問い」の形で出すこと
PEST分析は政治・経済・社会・技術の4観点でマクロ環境を整理するフレームワークです。厄介なのは、PESTこそ「最新情報」が命なのに、AIの知識は古いこと。だからこのプロンプトは結論を出させず、「調べる地図」を作らせる設計です。地図を受け取ったら、印のついた論点から官公庁の白書や業界団体の資料で埋めていきます。面接で4観点すべてを話す必要はなく、志望企業に一番効いている1観点を深く語れれば十分です。
プロンプト⑥ ビジネスモデル分解プロンプト
あなたは企業分析が得意な証券アナリストです。
目的: 以下に貼る【◯◯社の決算説明資料のセグメント別の説明・数字】をもとに、
この会社のビジネスモデルを、就活生の私が1分で説明できる形に分解すること。
出力:
1. 「誰に・何を・どうやって届けて・何の対価でお金をもらうか」を事業セグメントごとに1行ずつ
2. 売上の柱と利益の柱がずれている場合は、その指摘(貼った数字の範囲で)
3. この会社のビジネスモデル上の急所(どこが崩れると苦しいか)の仮説。仮説は「推測:」をつける
4. 私が追加で確認すべき資料・ページ
制約: 貼った資料に書かれていない数字を出さないこと。
【セグメント情報の本文・数字をコピーして貼る】
ビジネスモデル分解は、面接での「うちが何の会社かわかっていますか」に効く1本です。見どころは出力2の「売上の柱と利益の柱のずれ」。たとえば売上は製品販売が大きいのに利益は保守サービスが稼いでいる、という構図が見つかれば、志望動機も逆質問も一段深くなります。セグメント情報は決算説明資料か、有価証券報告書の「セグメント情報」の注記にあります。
IR資料で使う企業研究プロンプト4本(要約・競合比較・逆質問・壁打ち)
プロンプト⑦ IR資料の貼り付け要約(この記事の主役)
あなたは企業分析が得意な証券アナリストです。
目的: 以下に貼る【◯◯社の中期経営計画の要約ページ/決算説明資料の文章】を、
就活生の私が理解できるように読み解くこと。
出力:
1. この会社が「これから何に力を入れる」と言っているか(3点)
2. その背景にある危機感・課題は何か
3. 新卒がこの方針とどう関わりうるか(職種の仮説)
4. この資料だけではわからないこと(私が追加で調べるべき点)
制約: 貼った資料に書かれていないことを推測で補わない。
推測する場合は「推測:」と明記すること。
【資料の本文をコピーして貼る】
このプロンプトがこの記事の中心です。AIの内部知識ではなく貼った資料だけを材料にさせるため、ハルシネーションの入り込む余地が大きく減ります。中期経営計画や決算説明資料は公式サイトの投資家情報ページから無料で読めます。「方針→背景→自分との接点」の3段が、そのまま志望動機の材料になります。実在企業での実行例は、この後の「実行例」の章にトヨタ自動車のIR資料で載せています。
ここまでの10本を、業界→フレームワーク→企業の順にコピペで回せるプロンプト集にまとめ、裏取りチェックリストつきで記事末尾のフォームからメールでお送りしています。面接前の確認に使ってください。
プロンプト⑧ 競合比較の観点表
目的: 【A社】と【B社】(同業)の違いを、面接で「なぜ他社ではなくうちか」に
答えられるレベルで整理する準備をすること。
出力: 2社を比較するための観点を「事業の方向性」「顧客層」「働き方・カルチャー」
「新卒の育て方」の4分類で、合計10個の表にする。
各観点に「どの一次情報で確認できるか」の列をつけること。
制約: 観点だけを出し、2社の中身をあなたの知識で埋めないこと。
私が調べて埋めます。
表の中身をAIに埋めさせないのが肝です。空欄の表を受け取り、両社の採用サイトとIR資料で自分で埋める。手間に見えますが、埋める過程で読んだ情報が面接の受け答えの厚みになります。埋め終えた表をプロンプト⑩に渡せば、志望理由の壁打ちに直結します。
プロンプト⑨ 面接逆質問の生成
目的: 【◯◯社】の面接で使う逆質問を作ること。
材料:
- 私が資料を読んでわかったこと: 【プロンプト⑦の出力1〜2の要点を貼る】
- 資料だけではわからなかったこと: 【プロンプト⑦の出力4を貼る】
- 私が入社後に重視したいこと: 【例: 若手のうちから顧客と接点を持てるか】
出力:
1. 逆質問の候補を10個
2. うち「調べればわかること」(公式サイトを見れば答えが出る質問)を除外し、除外理由をつける
3. 残った質問を「面接官が現場社員の場合」「役員・人事責任者の場合」に分けて3個ずつに絞る
制約: 「御社の強みは何ですか」のような、資料を読んでいないと思われる質問は出さないこと。
逆質問は企業研究の出口です。やってはいけないのが「調べればわかることを聞く」ことで、企業研究不足がその場で露呈します。このプロンプトは、プロンプト⑦の「資料だけではわからないこと」を材料にする設計なので、質問自体が「資料を読んだ証拠」になります。出てきた候補をそのまま使わず、自分の言葉に直す磨き方は逆質問を磨く方法で解説しています。
プロンプト⑩ 「なぜこの会社か」の壁打ち
あなたは志望動機の浅さを見抜く厳しめの面接官です。
目的: 私の「この会社を選ぶ理由」が他社でも言える汎用文になっていないかの検証。
進め方:
- 私の理由に対して「それは同業の◯◯社でも同じでは?」の形で反論する
- 質問は1つずつ、5往復まで
- 最後に、私の回答の中で「この会社ならでは」に一番近かった要素を指摘する
私がこの会社を選ぶ理由: 【調べた事実を踏まえて自分の言葉で】
5往復すると、自分の志望理由のどこが借り物でどこが本音かが露わになります。ここで生き残った要素を核に志望動機を組み立てる手順は志望動機をAIと一緒に作る5ステップで詳しく解説しています。