求人票をAIで読むときは、「この会社は良いですか」と評価させるのではなく、書かれていることを明記・未記載・要確認の3つに分けるために使います。AIの仕事は原文整理、人間の仕事は原文照合と企業への確認です。
この記事でわかること:
- 求人票を項目別に整理する完全プロンプト
- 給与・残業・勤務地・休日で見落としやすい点
- 曖昧な記載を採用担当者への質問へ変える方法
結論: 求人票はAIで「明記・未記載・要確認」に分ける
求人票や募集要項を読んだら、次の形式で整理します。
| 区分 | 意味 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 明記 | 原文に条件が具体的に書かれている | 原文とAIの引用を照合する |
| 未記載 | その項目の説明が見つからない | 必要性を判断し、質問する |
| 要確認 | 書いてあるが範囲・条件が曖昧 | 具体的な条件を企業へ確認する |
たとえば「全国転勤の可能性あり」は明記されていますが、頻度、対象地域、希望を伝える機会は未記載または要確認です。「月給25万円」も、基本給、手当、固定残業代の内訳がわからなければ比較できません。
AIには次の4つだけを任せます。
- 求人票の項目を同じ順番へ並べる
- 原文の該当箇所を抜き出す
- 未記載と曖昧な点を分ける
- 要確認項目を丁寧な質問に変える
「働きやすい会社」「ブラック企業ではない」といった評価は任せません。求人票だけでは、配属先の実態、上司との相性、繁忙期の働き方までは確定できないからです。
AIへ求人票を入力する前の安全チェック
求人票が公開情報でも、入力前に不要な情報を削ります。
- 採用担当者の氏名、直通電話、個人メール
- 自分の氏名、住所、電話、メール
- 応募者番号、ログイン情報
- 自分だけに届いた選考URL
- 非公開と明記された内定条件や社内資料
- 他の応募者や社員を特定できる情報
企業名も、条件だけを比較する段階ではA社・B社に置き換えられます。ブランド名を隠すと、「有名だから高評価」「知らない会社だから低評価」という先入観を減らせます。
ChatGPTを使う場合、OpenAIのデータコントロールで会話をモデル改善に利用するかを設定できます。ただし、設定を変えたことは、他人の個人情報や企業の非公開資料を入力してよい理由にはなりません。入力情報を最小限にする原則を守ってください。詳しい線引きは/articles/91で解説しています。
画像やPDFの求人票を使う場合は、文字認識の誤りにも注意します。「月給230,000円」が「月給280,000円」、「年間休日120日」が「年間休日12日」になることがあります。数字は必ず原文画像と照合してください。
求人票を読む完全プロンプト
次のプロンプトは、求人票を要約するだけでなく、原文引用を残し、AIによる補完を防ぐ設計です。
あなたは新卒求人票を整理する補助者です。
求人の良し悪し、企業の評判、私への適性は判定しないでください。
入力文にない条件は推測せず「未記載」としてください。
以下の求人票・募集要項を、次の項目で整理してください。
1. 雇用形態と契約期間
2. 仕事内容と職種
3. 就業場所、初任地、変更の範囲、転勤
4. 基本給、手当、固定残業代、賞与
5. 就業時間、休憩、時間外労働
6. 休日、休暇
7. 試用期間と期間中の条件
8. 社会保険、退職金、福利厚生
9. 応募資格、選考、提出期限
10. 求人に関する特記事項
各項目を次の列で表にしてください。
- 区分: 明記 / 未記載 / 要確認
- 記載内容
- 原文引用
- 原文の見出しまたは位置
- 応募前に確認する質問
ルール:
- 入力文にない数字、制度、一般的な業界情報を追加しない
- 「あり」「可能性あり」だけでは条件が不明なら要確認にする
- 月給は基本給・手当・固定残業代の内訳を分ける
- 勤務地は雇入れ直後と変更範囲を分ける
- 不明点を企業への中立的な質問に変える
- 最後に「応募判断へ影響する未確認事項」を最大5つ示す
[ここに個人情報・連絡先を削除した求人票を貼る]
出力を受け取ったら、原文引用が実際の求人票と同じか確認します。AIが「記載内容」を自然な文章へ直した結果、条件の強さが変わる場合があります。「原則東京勤務」を「東京勤務」と短縮すれば意味が変わるため、引用列を残すことが重要です。
求人票で優先して見る8項目
1. 雇用形態と契約期間
「フルタイム」は必ずしも正社員を意味しません。ハローワークインターネットサービスも、フルタイムと正社員は同じではないと案内しています。正社員、契約社員、派遣などの雇用形態と、期間の定めがあるかを確認します。
AIへの確認:
雇用形態と契約期間について、原文の語句をそのまま引用してください。
「フルタイム」から正社員と推測しないでください。
更新条件や正社員登用が未記載なら、そのまま未記載としてください。
2. 仕事内容と配属
「総合職」「企画営業」だけでは、入社後の具体的な業務がわかりません。担当顧客、業務範囲、配属決定時期、職種変更の範囲を確認します。
求人票に「会社の定める業務」とあれば、変更範囲は広い可能性がありますが、それだけで実際の異動頻度はわかりません。「入社1〜3年目の主な業務」「配属希望を伝える時期」を質問へ変えます。
3. 就業場所と転勤
ハローワークの案内では、就業場所は雇入れ直後の場所が記載され、転勤の可能性は別欄で確認する構成があります。採用ページでも、初任地と将来の変更範囲を分けて見ます。
確認する語句:
- 雇入れ直後の就業場所
- 勤務地の変更範囲
- 全国転勤、地域限定
- 在宅勤務の適用条件
- 配属希望の扱い
「在宅勤務可」だけでは、週何日か、研修中も対象か、配属先で違うかは不明です。AIに制度の一般論を補わせず、要確認にします。
4. 基本給・手当・固定残業代
月給の合計だけでは比較できません。内訳を分けます。
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| 基本給 | 手当を除く給与の土台を知る |
| 一律手当 | 全員に毎月支給される条件を確認する |
| 変動手当 | 資格、地域、住宅など支給条件を見る |
| 固定残業代 | 対象時間数、金額、超過分の扱いを見る |
| 賞与 | 実績と将来保証を混同しない |
「賞与年2回」は支給回数の記載であり、金額の保証とは限りません。「住宅手当あり」も全員が対象とは限りません。AIには支給条件を原文から抜き出させ、見つからなければ要確認にします。
5. 就業時間・休憩・時間外労働
始業・終業時刻、休憩、交替制、フレックスタイム、変形労働時間制などを分けます。「残業少なめ」の表現だけで判断せず、求人票に数値があれば対象期間と単位を確認します。
月平均の数字は、部署・時期・職種による差を隠すことがあります。説明会では「繁忙期」「配属予定職種」「新人の働き方」を具体的に聞くと、平均値を補えます。
6. 休日と休暇
「週休2日制」と「完全週休2日制」は同じ表現ではありません。また、「年間休日」の数字だけでは、曜日、シフト、祝日、会社カレンダー、有給休暇の扱いがわかりません。
AIには次を別項目で出させます。
- 休日の曜日またはシフト
- 週休の表現
- 年間休日数
- 有給休暇
- 特別休暇
- 会社カレンダーの有無
書いていない内容を「一般的には休み」と補完させないでください。
7. 試用期間
試用期間の長さと、期間中に給与、手当、勤務地、雇用形態が変わるかを確認します。「条件変更なし」と明記されているか、変更内容が具体的かを見ます。
8. 特記事項
重要な条件が「求人に関する特記事項」「備考」「その他」に書かれることがあります。研修場所、必要資格、選考書類、マイカー通勤、入社前課題などです。AIの要約で特記事項を省略しないよう、独立した項目にします。
架空の求人票をAIで読み解く例
次の条件を持つ架空のA社を考えます。
職種: 営業総合職
月給: 260,000円
内訳: 基本給220,000円、職務手当10,000円、固定残業代30,000円
固定残業代は時間外労働の有無にかかわらず支給
就業場所: 東京本社
変更範囲: 全国の事業所
就業時間: 9:00〜18:00
休日: 週休2日制、会社カレンダーによる
試用期間: 3か月
完全プロンプトへ入れると、期待する整理は次のようになります。
| 項目 | 区分 | 確認結果 |
|---|---|---|
| 月給内訳 | 明記 | 基本給・職務手当・固定残業代あり |
| 固定残業時間 | 未記載 | 何時間分か確認が必要 |
| 超過分 | 未記載 | 別途支給の記載を確認 |
| 初任地 | 明記 | 東京本社 |
| 将来勤務地 | 明記 | 全国の事業所 |
| 転勤頻度 | 未記載 | 配属後の実例を確認 |
| 休日の曜日 | 要確認 | 週休2日、会社カレンダーのみ |
| 試用期間中の条件 | 未記載 | 変更の有無を確認 |
AIが「完全週休2日」「転勤はまれ」「固定残業20時間分」と補ったら誤りです。入力文にないからです。出力後は、項目数が多いことより、推測が混ざっていないことを評価します。
求人票2件を比較するプロンプト
A社とB社を比較するときは、表現をそろえます。
以下のA社・B社の求人票を比較してください。
企業の優劣や私へのおすすめは出さないでください。
比較軸:
- 雇用形態・契約期間
- 仕事内容・配属
- 初任地・変更範囲
- 基本給・手当・固定残業代
- 所定労働時間・時間外労働
- 休日・休暇
- 試用期間
各社について、原文引用を残し、
「同じ基準で比較可能 / 条件が異なり単純比較不可 / 一方または両方が未記載」
に分類してください。
金額は月給総額だけでなく内訳を分けてください。
未記載を平均値や業界一般で補わないでください。
最後に、比較を完成するための確認質問を5つ作ってください。
[A社の匿名化した求人票]
[B社の匿名化した求人票]
たとえばA社は月給26万円、B社は月給25万円でも、A社に固定残業代が含まれ、B社は別途残業代支給なら、総額だけで単純比較できません。勤務地も、A社は初任地確約、B社は全国の事業所のうちいずれかなら、同じ「勤務地」欄でも意味が違います。
比較する前に企業情報をそろえる工程は/articles/115、就活タスクごとのAIの使い分けは/articles/60で扱っています。